
二級河川なのである。まだしも、幸せに生き長らえている川と言える。鮎解禁前の平穏な日々、慈雨の中初夏へと向かう日置川は、淑やかに我々を迎えてくれた。たしかに鮎で有名な川である。しかしながら、鮎釣り師が有名になる謂われはまったくもって無いのである。(ここで皆さん喝采!)しばらく来れないことになるが、今シーズンは、きゃつらより先に懐に抱かれてやったぞと、とりあえず満足している今日このごろ。

| DATE | 天候 | 区間 |
| 1997/5/2 | 曇のち雨 | 市鹿野-宇津木 |
| 1997/5/3 | 雨降ったり止んだり | 宇津木-向平 |
| 水質 | ★★★- | 綺麗なんだけど、川底に空缶等多し。キャンパーが悪い。 |
| 水量 | ★★+ | 二日目は雨で10cm程増水。前日もこれくらいあれば。 |

飛び石連休となったこのゴールデンウィーク。気圧の谷が何度か紀伊半島を襲うことになった。そして結局、平日が良い天気で、休日がぐずつくというイ ヤーな巡り合わせになってしまったのである。5月2日、午前7:00神戸を出発。一路阪神高速湾岸線から関空連絡道、阪和道、海南湯浅-湯浅御坊道路と乗 り継いで海岸線へと到達。ここまで3時間、いいペースではあるが、ここからは延々と地道を行かなければならない。さらに運転すること2時間、JR紀伊日置 駅に着く。駅前にある食堂で昼ご飯となった。
★★ここでワンポイント情報★★
大阪方面から熊野川へ行くには、阪和道で行っちゃダメよ。でも 日置川となると、これより他にルートがないのよ。っと。やっと 海南御坊道路が繋がったとはいえ、連休前とかになったら大変。 我々は平日金曜に向かったから良かったものの、帰路土曜日の対向車線 ときたら、見るだに気の毒。休日に行く人は、覚悟の程を。★
駅前の酒屋でビールと氷を仕入れて、上流へと向かう。途中宇津木で車をデポ。宇津木橋の手前を左に降りていくと、ぐるりと回って河原に出られる。かなり大きな河原だ。
本来はもっと下流の向平まで下る予定なのだが、どうも雲行きがおかしいので、ここに移動手段をキープすることにした。
そして1:30、遥か220キロの距離を走破して市鹿野に辿り着いた。橋を渡って左にしばらく行くと、河原の近くまで行っている道がある。河原の手前に3台ほどの駐車スペースがあるのだが、先客が使用中。仕方ないから少し手前の路肩に止める。
2:30出艇。水もなかなか美しい。でもちょっと岩にはひらひらとした珪藻類が多いなという印象を受けた。また川底に心ない人が捨てたジュースの缶が転がっているのは、残念このうえない。
漕ぎ出すとさっそくザラ瀬で艇に穴が開いた。水量がもう少しあればいいのだが…。あとこの川の特徴として、よく急角度でカーブしているということ。この最初の瀬もそう。といって下がえぐれているわけでもないので、突進でもしない限り普通に漕いでいれば流れが押し戻してくれる。
どこかでウグイスが鳴いた。川沿いの風景は熊野川に実によく似ている。なんとなく紀州の川なんだなあ、これが。
ふと見れば、川底をまるまっこい岩が艇の底をかすめていく。景色も良ければ、水中も美しい。川っていうのは、こうでなくちゃね。
やがて、雨が降り始めた。前方にちょうど吊り橋が見えてきたときだった。 いよいよ紀州は本格的な雨模様。川面に無数の水玉模様が描かれていく。これはこれで風流なもんであるが、鬱陶しいのは確か。回りの景色を見るのもそこそこに、ただただ目的地へと急ぐことになってしまう。
やがて、雨が降り始めた。前方にちょうど吊り橋が見えてきたときだった。 いよいよ紀州は本格的な雨模様。川面に無数の水玉模様が描かれていく。これはこれで風流なもんであるが、鬱陶しいのは確か。回りの景色を見るのもそこそこに、ただただ目的地へと急ぐことになってしまう。
この季節ならではの山藤とか、いろいろ見どころはあるのに残念。
大(おお)という集落を過ぎると、大岩がごろごろと水面から顔を出しているところに差しかかる。ゆっくりと流れているところだから問題はないけれど、当然のことながら居眠りをしていたりすると大破する。しばらく瀬もなかったことだし、ここで右へ左へと岩の間を漕ぎ進んで暇潰しをするのもいいかも知れない。
そして宇津木。 大きな河原が左岸に広がっている。そこに、瀬音。白波が勢いよくたっているのが見える。少しばかり、落ち込んでいるようだ。これが今日最後の瀬。しかし、 しかし、よく見るとド真ん中に何かある。喫水の深目なわが愛艇には、ちよっと大きなクエスチョンである。「やーめた。」ということで、ライニング。本日終 了。宇津木橋の手前で上陸する。4:30。
キャンプを張り、上流に置いた車を取りに行くと、ポリ艇を積んだ車がいた。どうやら、さすらいのソロ・カヤッカーらしい。この辺はキャンプ禁止だ し、雨も降り出して心もとないだろうしで、我々のキャンプサイトまでご案内した。カヌーは道連れ。ささやかな宴会が開かれたのであった。この方、東京から 転勤してきたサラリーマン・パドラーで、最近はひとりで紀州の川を回っているらしい。前日は、隣りの日高川を下ってきたという。日高川は、水量少なめ、ポ リなら十分だが、ファルトにはちょっとツライかも知れないとのこと。
★★ここで個人的メッセージ★★
あのときお会いした、某「水の会社」にお勤めの今井さん、お元気ですか?このページを書いているのは、あのときの酒のみです。連絡先も何もかわさぬハローグッバイでしたが、もしも、これを読んでいたりしたら、メールでも出してくださいね。★

翌日、雨なのである。止んだかなと思ったら、また降り始めるのである。ときどきは薄日もさすのだが、けっしてあがってはくれないのである。とりあえ ず、車をデポしがてらに、下流のえびね温泉へと行く。湯にでも浸かって、雨上がりを待とうというのだ。が、なんと温泉の営業は12時から。そういう今は 10時。ツイテないときは、こんなものなんだなぁ。雨はあいかわらず、降ったり止んだり。件のソロ・カヤッカーIさんは諦めて帰っていった。
しかし、我々は賭けてみたのである。向平のキャンプ場内の駐車場に一台の車をデポ。キャンプ地点に戻った。そして早々にキャンプを撤収すると川に漕ぎ出した。12時を回っていた。でも、それほど時間のかかる距離でもない。流れもある。2時間もかからないだろう。
岸壁の所々で、岩清水が流れ落ちている。折りからの雨で、なかなかしっかりした勢いを持っている。パドルをささげると、飛沫が音をたててまわりに散った。
さらに遠くを見はるかすと八草(やそ)の滝が細く白い一筋を、山の中腹あたりに描いていた。
そしてその下辺りが三つ又の瀬になる。大きな中洲があり、流れがいくつもに分かれている。どれが本流になっているのか手前からだとよく分からないので、偵察するよりほかない。結局我々は直角の瀬となる真ん中のルートをとったが、それが正解だったと思う。
久木橋のかかっている手前が、またちょうど直角の瀬になっている。早めに対処すればたいして問題はない。岩に当たって押し戻されている流れもしっかりしているから、大激突の心配はないだろう。
川面には、靄が残っている。こんな幽玄な趣きは、雨の日ならではの恩恵ではあるが、あがったかと思っていた雨がまたその足を強めてきた。
雨煙るなかを漕ぐ光景は写真におさまるとそれなりだが、正直言えば、もうそろそろ陸に上がりたいのであって、パドリングペースも俄に速くなっていくのだった。
そのとき、ちょうど向平キャンプ場を通過。高い土手に囲まれているので、ぐるりと回り込んで下流側の比較的土手の傾斜の緩いところに接岸。2:00上陸した。

1997年5月2日
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