
この年の春、GWにカヌー仲間の日置川行の誘いを断ったのには、理由がある。実はその頃、我が家では奥琵琶湖湖畔でキャンプ&カヌーの合宿を行っ ていた。すべては、家族で川へ漕ぎ出す日のための用意周到な計画からであった。妻はといえば、10年前にカヌー教室に行って以来とんとご無沙汰、パドルを 握っていない。また下のチビはと言えば、カヌーなんぞにはまだ縁がない。私とて、新しく使うことになったフジタカヌーの組み立てに全く自信が持てない。それらをすべて解決する必要があったのである。で、苦労した甲斐がありました。とうとう、熊野の川面に赤いタンデム艇が二杯、ゆらゆらと浮かぶことに相成り申した。

DATE | 天候 | 区間 |
2004/7/17 | 晴 | 小川口(湯の口温泉) |
2004/7/18 | 晴 | 田戸ー小川口 |
2002/7/19 | 晴 | 小川口ー神戸 |
水質 | ★★★+ | いつもの清冽な水が流れている。 |
水量 | ★★★ | 標準的な水量。 |

往きはいつもの十津川路である。もう何度通ったか知れないが、今回はちーとばかり趣が違う。チェロキーの荷台には荷物がうず高く積み上がり、バック ミラーが見えないほどだ。そう、この車には家族4人と、ファルト2艇、それにキャンプ道具一式が詰め込まれている。いよいよ念願の家族ツーリングが実現し た。きょうは、キャンプ&デポ地の小川口に到着するだけの日程なので、ちょっとのんびり気味のドライブだ。途中、あの蕎麦屋に寄って…
★★ここでワンポイント情報★★
とうとう、あの谷瀬の吊り橋から5キロほど本宮よりにある蕎麦屋の名前を記録して帰ってきたぞ。名前は「風庵」。十津川村上野地345-13、 電話は07466-8-0700。やっぱり旨い。もうかなり有名になってしまったようで、昼になるとテーブルはいっぱいに埋まってしまう。ちょっと早めに 入ることをおすすめします。★
で、とりあえず、小川口に到着する。もう何度も通った道ゆえに、慣れているが、遠いことは遠い。河原に車を落としてキャンプサイトを決定。だいたい 平らになっているところは決まっていて、先客もいる。だが、そこそこ広さがある河原ゆえ、そこそこのプライバシーが保たれることになっている。
夜のしたくをさっさとして、本日は、のんびりと温泉浴。湯の口温泉に出かける。極楽極楽。明日の出艇は、田戸。そして、ここに帰ってくるだけ。楽勝の行程を組むとなかなか心の余裕も違う。

翌日、田戸へと車であがる。すると、またまた驚くことに、田戸ホテルに下りる道当たりが、立派に整備されている。奥瀞方面には、立派な舗装道路が伸 び、新たなトンネルも完成していた。いったいこれを通っていくと、どこに出るんだろう?どんな理由があって、ここまで整備されたのだろう?
相変わらず、広大な駐車場は、がら空きではあったが、いいポジションにはちゃんと車が停まっている。そんなにカヌーが出ているわけでもないのだが、いったいどんな人が利用しているのかは謎のままだった。
それはそれとして、例の地獄の階段を艇をふたつ担ぎおろし、荷物を運び終えると、さすがに足が笑った。
余裕のよっちゃんのふりをするが、(きょうもジェット船は大にぎわい。次から次へと船着き場に到着する。好奇な眼はずっと我々にそそがれているのだ。)問題はそれからだった。
フジタカヌーが組み上がらない。
おかしい。何かが、根本的に違う。冷静になろうとするが、そこに灼熱の日ざしが降り注ぐ。頭はいよいよボーッとしてくる。最初は、冷たいビールや チューハイをかみさんに差し入れてもらっていたが、ダメだ。暑い。いよいよポカリスエットを要請した。指先のあっちこっちに擦り傷を負いながら1時間、 やっと組み上がった。見ようによっては、「なんだこのトーシローが、かっこつけてカヌーなんて持ってきやがって、ところで子供まで乗せて大丈夫なのか?」 である。

まあ、でも、とにかく二杯の船が清水の上に並んだ。いよいよ河原もたくさんの観光客であふれてきた。東大医学部御卒業生様御一行や、宝塚音楽学院のお嬢様 御一行や、ケンブリッジ大学同窓会御一行様などが、わんさかいる(このジェット船途中休憩所には、おだて上手の名物おじさんがいて、いつもマイク片手に毎 度お調子のいい観光案内をくり返すのだ)し、そろそろ川面に脱出といきましょう。

瀞峡は、それほど長い距離ではない。噛み締めるように漕いでも、三十分もあれば漕ぎ抜けてしまう。ちゃんと味わって下さいよ、子供達。小川口までは1時間くらいの行程である。
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さて、ところで田戸にデポした車をどうやって回収するかについてです。ここは、公共交通機関がないので、私はやむなく、タクシーを頼んだ。小川 口のトンネルを熊野方面に抜けた所に「いるかハイヤー」さんがある。電話は05979-7-0037。で、もちろん連れていってくれるのだが、やっぱりタ クシーだから料金はそれなりにかかる。だいたい6000円弱だったと記憶する。

ところが、実は、ジェット船に小川口から途中乗船できることが判明。田戸まで2000円くらいで行ってしまうらしい。上の写真の黄色い旗の立つ桟橋に注意。停留所である。利用したい人は、瀞流荘のフロントでチケット予約すればいいらしい。なんと便利な時代になったもんだ。
ただ、タクシーの運転手さんと話をすれば、いろいろ地元の情報もとれる。買い出しにはどこまで行けばいいかとか。ここから、大阪に帰る最短ルートはどれかとか。★
車をとって帰ってきて、運転手さんに教わった通り、いるか町を通り越して約二十分。農協のスーパーの看板がたんぼの向こうに見えてきた。冷たいものを買い込んでキャンプサイトに戻る。なんだかんだで二時間を過ごすと、もう夕闇が迫っていた。
そのあと、食事して、温泉にいって、花火して、熊野の夜は更けていった。

何にしろ、晴れはいいもんです。暑いのは夏だから仕方ないとして、テントは乾く、カヌーは乾く、乾きが早いと、片づけも早い。
どさっと車につめこんで、いざ家路へ。昨日運転手さんに教えてもらった道をたどっていく。
小川口のトンネルを過ぎてしばらく行き、入鹿中学校の方へ八幡さんを左に、赤木城を抜けて、西山へ。
大沼口、神の上(おそらくこの辺が奥瀞)から七色へ、そして、最近できた不動トンネルを通って、一気に桑原へ出て池原ダムの169号線に乗る。あと は、大台が原を抜けていくわけであるが、何とあの大台の道がこんなにも綺麗に広くなっているとは知らなかった。かっては、バスが通るだけで離合ができず大 渋滞だったのに、いまやまるで高速道路だ。吉野市街を避けるために、針の方に抜ける道もある。名阪にもどることになるが、すいているからずっと速い。四時 間で神戸まで帰ることができた。これは、すごい!!。

2004年7月17日
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