のほほん、のほほん。木津川

気田川に愛想をつかされた三人衆は、この鬱憤を如何せんとて、次の標的を木津川と定めた。理由はなんてことない、帰り道で、大阪に一番近くて、穏や かな川だから。幸いカヌーライフ最新刊のツーリングブックをK氏が車に載せていた。一ページだけの少ない情報だったが、木津川が出ていた。ま、何もないよ りましである!?

DATE天候区間
2003/4/28晴れ天竜川合流-木津川笠置
2003/4/29晴れ笠置-泉大橋
水質★★もともと伊賀の町から流れてきている川だからねえ。
水量★★コースを見てないと、浅い所に追い詰められる。

東名・浜名湖サービスエリアで、うなぎを食べて店を出ると、もう二時半を回っていた。で、これから帰るのであればいいのだが、これから出かけるとな ると話は違う。めざすは、三重と奈良と京都の間。木津川、笠置。名古屋一の宮インターから東名阪へ。名阪国道を伊賀上野で降りて地道へ。このとき、陽はま さに、山の稜線にかかろうとしていた。

そこから数十キロ。闇が川面を包むなか、ようやく笠置大橋北詰の信号に辿り着く。対岸のキャンプ場にチロチロとランタンの灯が見える。到着。とりあ えず、駅前の商店で酒・飲料・めざし・フランスパン(よくもまぁ売っていたものである)を買い出してののち、そこから少し奥まったところにあるわかさぎ温 泉という保養施設に向かう。が、これがなかなか立派な施設で、大きな食堂つきのクアハウス。しかも十時まで営業しているではないか。そうと知っていれば、 ここで食事という方法もあったが、いろいろ買い出しは済んでいる。

ところで、今夜の宿営地である。これが情報を持ってない私たちとしては難しかった。川イコール河原イコール宿営地という考え方は、実はここでは通じ ないことが翌日判明する。が、私たちはその日は、というか、その夜は川下へ行ったり来たり、薮漕ぎしたり、さんざんな目にあった後、結局、木津川河川敷 キャンプ(笠置大橋たもと)にもどって寝ることとなった。

★★ここでワンポイント情報★★

木津川は、かなり管理された川である。それは町中を流れていくからでもあるのだろうが、川に降りるポイントはかなり少ない。また、降りられそう な所にはまず決まって鋼鉄のゲートがつくってある。川に寄らしむなかれという方針が明らかである。野趣あふれることを望むなら、ここはそれに該当しない。 その昔、私は笠置の「青木カヌー」さんに学び、この趣味に入った。その時には、河原でテントを貼っているカヌーイストがいたりして、羨ましく思ったもので あるが、今はどうなのだろう。ちなみに、フジタカヌーや青木カヌーがスクールを開く笠置は、この笠置大橋より少し上流に位置するのではあるが…。★

なんといういい天気なのであろう。しかも、川は、川の色をしている。そんな当たり前のことがこのうえなく嬉しく思える一日のはじまりであった。

艇を組み立てていると、いい陽気に誘われて、川辺で遊ぼうと、次から次へと車が入ってくる。あちこちでパラソルが咲き、バーペキューコンロが組み立 てられる。こちらはといえば、とにかく川下りをした実感が欲しくて、うまそうなビールもそこそこに、出艇へと準備をすすめる。(つまり多少は飲んでいると いうことになるが…)

艇を水面に降ろす。やや冷たい水。予定は、いまから一時間後に上陸できれば、加茂から電車で、ひと駅遡ってデポ車を取りに行く。二時間後上陸なら ば、木津からふた駅遡る。以上、きわめてアバウトな計画にて申し訳ないが、これぐらいしか分からない。何しろ地図がない。仕方がないのである。一応、列車 の時刻表だけは確かめてきたので、各々方、がんばってくだされ。ちなみに、列車はというと、万が一乗り遅れると、一時間待つことになるのでご了承のこと。

キャンプ場まえの細い流れ込みから出艇。

「さて、出艇9時45分でござる。」そして本流に入ると、すぐに瀬がやってくる。キャンプ地の真ん前なので、決して失態を見せないように注意したい。と いってたいした瀬ではないので、まず沈なんて考えられないが…。これが後に判明するのだが、今回のツーリングコースで唯一といってよいぐらいの貴重な瀬で あった。

出艇してすぐ、瀬がやってくる。このコース唯一ともいえる瀬だ。

新緑を映す川とはやっぱりいいものである。ま、水質はというと、お世辞にもいいとは言えないものの、泳ぐわけでもないのだから、文句は控えよう。少なくと も、パドルは水中にあっても見えるのであるから、どこやらの川とは大違いなのである。感謝感謝。ああ、日々これ好日かな。(全然、さとってないじゃない かって!?、そうともいう。)

コンクリート色の水と、ちょい汚れの水と。さて、どっちがいいかな。

三四十分も漕ぐと、右岸に広い河原が見えてくる。たくさんのタープが張ってあり、バーベキューをするグループ家族連れでにぎわう。銭司キャンプ場(ぜす キャンプ場 0774-76-5768)である。駐車料金1000円で一日停めておける。家族で来る時には、ここにデポして、楽をするという手もある。冷 たいものにもありつけるのが嬉しいかも…。

銭司キャンプ場のタープ群が、みえてくる。小一時間の水遊びコース。
どんと広がると、なかなかいい感じの川になる。

さて、一時間経過である。件のツーリングガイドには、ここで上陸可能ポイントがやってくるるという。恭仁橋周辺になるのであるが、これが一向にそれらしき ポイントが見つからない。唯一ありうるのは、給水塔らしき所に無理矢理乗り上げることだが、これは現実的ではない。まずここで上陸するという行程は、やめ ておいた方がいい。(いい加減な情報は困りますぞ、CL編集部さま)

艇を着岸させても、上げる方法がない。がせ上陸ポイント。

しばらくは、何にもすることがない、ひなたぼっこツーリング。ただ、インコースはだいたい浅くなっているのでスタックしないように、できるだけ水が 流れていると思しきコースをとるようにお勧め申し上げます。ところで、あっ、前方のツアラーが浅瀬に入り込んだ模様。あー、良かった。もうちょっとでその コースを行く所だったよ。ありがとう、ありがとう。ごめんね、旅の御仁、力になれなくて、御愁傷様です。

一時間半が経過。すると、右岸前方に、河原に下りてきている車が見える。ここならデポ車がキープできそうだ。

右岸に河原に下りてきている車が数台。ここで上陸という手もある。

★★ここでワンポイント情報★★

後日、家族で木津川へ来た時、このデポポイントを下見してみた。少し急なスロープではあるがちゃんと河原まで行ける。ゲートなどもなく、銭司 キャンブ場を除けばこのコースで唯一川に下りていける箇所と言える。ただ、その時は、水量が多かったようで、ちょっとしたクリークができていた。それを越 えれば接岸ポイントまで行けるが、車高の高い四駆でないと、ちょっと心配かも知れない。

お約束の二時間が近付いてきた。泉大橋のたもとまで来たものの、さて、どこに上陸したものか。すると、ちょうど橋の真下のスロープをバーベキュー セットを持って下りてくる家族連れを発見。どうやら、地上に通じているようだ。ここにて上陸。尋ねると、木津駅までは歩いて十分ほどとのこと。上流デポ車 を取りにいくため、ドライバーたちを駅へと先に向かわせた。時刻は11時35分。ぎりぎり11時57分の列車に間に合いそうだ。

泉大橋を下流から見る。砂地・泥濘地が多く、干す場所に苦労する。

ところが、である。地上にのぼってみてはじめて分かることであるが、橋の上流側の川へ通じる道には、例の鋼鉄製ゲートがしっかり閉められており、荷 物を揚げるとなるととんでもない労力を要する。そこで、下流側へ歩いていくと、橋から約百メートルほど堤を行った所に、こちらにも鋼鉄製のゲートがあるの であるが、こっちはオープンしている。どうやら、天気の良い休日だけ河原を解放しているようである。ちょうど昼にさしかかる頃とあって、バーベキューセッ トを持ち込む人が次々とやってくる。

しかたなく、船を回漕することに。一艇ずつ下流まで落としては陸に揚げ解体。三艇を解体し終わって、河原にずらりと天日干し体制が整うと、ちょうどデポ車たちが戻ってきた。カップヌードルと水と、冷たいビールを持って。

2003年4月28日


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