日高川、なんと穏やかな川であろうか。落ち鮎漁のシーズンも終盤、やる気のあるようなないような仕掛けを巻きながらののんびりツアー。瀬とて瀬らしいものはなく、まさしく紅葉狩りとなったのであった。

DATE | 天候 | 区間 |
1997/11/15 | 晴 | 上瀧本-三百瀬(みよせ) |
1997/11/16 | 晴 | 三百瀬-ゆりの瀬 |
水質 | ★★★+ | 水が少ないためか、澄んでいた。 |
水量 | ★★ | 少ない。名物ゆりの瀬も、ふつうの一級の瀬になっていた。 |

今夏の台風には、さんざんな目に遭った。紀州の川はどこもかしこも大増水。はるばる出かけたのに指をくわえている他なく、あちこちたらい回しに会った後でとうとうオートキャンプ場でキャンプする、というていたらく。というわけで、今回のツアーは雪辱戦である。
15日、泉大津のサービス・エリアで全員集合8:00。あとは、湯浅御坊道路をどんと行って川辺出口でおりること10:00。文字どおり、もう川の ヘリにまで来ているのだ。大阪から高速一本で行けるというのは、まこと便利なものである。ということは、早晩この辺りの川が 荒らされて汚くなってしまう ということでもあるのだが。
さて、山を抜けて、三百瀬橋(みよせばしと読むのだが、ややこしいのは三百瀬という土地に架かるのは千鳥橋で、三百瀬橋はそれより2キロぐらい下流に位置する橋)のところでで川と出くわ すことになる。川は、優しく流れていた。あの夏流れていた濁流とは全く別の世界。橋脚を基準に考えると、高さとして5メートルは違うのではないだろうか。 あの日もきょうと同じぐらいに青空のひろがった絶好のカヌー日和だった。ただダムだけが予期せぬ程、水を吐き続けていた。みなさんダムには気をつけましょう。

出発点は、ここより上流10キロのところだが、まずは買い出し。今回はメンバーがひとり増えたことで、バーベキューセットの登場となった。とにか く、焼くものが要るのである。しかし、この近辺、あまり店屋は多くない。実際に買い出すとなると、さらに上流の高津尾という所まで行く。ここには、ガソリ ンスタンドの手前に、スーバーがある。すぐ近くに酒屋もあるので一網打尽ということになる。
戻って、瀧本橋近く。ここから艇を出すということになる。このすぐ上流には、堰堤があり、これがこれより上からのツアーを困難にしている。

ということで橋の下に車を降ろすものの、その直下は、ゴツゴツした岩が露出している。

瀬になっていて楽しそうではあるのだが、ファルトには無理ということで、その少し下から出艇。例によって、デポする手間がかかったりして時刻は、はや2:30を過ぎていた。

初瀬というも、瀬のうちに入らぬ程の穏やかな細波。ただ水量が少ないので、腹すりに注意といったところ。まぁ、もともと瀬のスリルを求めてやってきたツアーでもないし、何よりこんな季節に沈はちょっと嫌だ。

水は、キーンとした透明度と冷たさをもっていた。そろそろシーズンも終わりである。
が、この期に及んでも、やはり鮎漁する人たちとの確執は続くのであった。ほとんどの仕掛けは、もうやる気がないのだけれど、なかにはやる気満々のも あって、番までしていたりする。当然、番をするぐらい気合いが入っている所は、抜け道を用意してくれたりは望むべくもない。また、決まって口のきき方を知 らない。まあ、相手にするだけ無駄。さっさと対岸から巻いて、さっさと水に流すのが一番です。

そんなことで、時間はちょっと押し気味。例によって夕暮れと競争するかのようにあたふたとキャンプ地に上陸。夕日が稜線の下に入ると、気温もグッと下がってきた。

★★ここでワンポイント情報★★
キャンプのポイントとなると、なかなか河原に降りれる道がないのがネックとなる。千鳥橋のたもとへと降りる道はあるにはあるが、不法投棄を防ぐ ためにチェーンが張ってある。セダンぐらい背の低い車なら通れるが、ジープタイプは無理。どうしてもとなると、ゲートの鎖を地元青年団に頼んで開けてもら うより仕方がない。★

16日未明にかけての夜は、本当に寒かった。雲一つない夜空、まさに放射冷却というやつだ。.ありったけの衣類を着込んで、寝袋に入ったが、全然お いつかない。シュラフカバーがやはり必要だったかも知れない。が、そのかわり、一夜明けると天高く澄み渡る青空。カヌー日和である。稜線からようやっと現れた朝日に照らされて、対岸の山には思い思いの色の葉が美しく燃え立ちいで始めたのだった。

もとより風邪ぎみで参加していたメンバーがグロッキー。またもう一人はこれから会社に帰って仕事だという。ということでパーティは半分に分裂。またぞろいつもの二人ツアーとあいなった。
10:00に下の河原に車をデポして、再び出艇したのが11:00。とはいえ、これより先にそれほどたいしたイベントもない。水は美しいものの、水が少ないからよく腹を擦る。幸いなのは、悪質な角の尖った石がないこと。多少は擦っても穴のあくことはない。
途中、いくばくかの風情を持った岩場を漕ぎ進む。じきに三百瀬橋がやってくる。その向こうにやる気のないヤナがまたひとつ。これを巻きついでに右岸の広い河原に上陸。そして昼食。でも、どうでもいいけど、河原で食うカップヌードルはどうしてこんなに旨いんだろう。

ほどない休憩の後に、最後のイベント「ゆりの瀬」へと向かう。ここには、通常であれば2級ほどの瀬が立つという。ポリ艇がロデオをして楽しむらしいが、いまはその見る影もなし。そこまで、水は少ないのであった。
13:00にゆりの瀬下に上陸。ツアーは、静かな趣のまま終わった。これが、リターンマッチ?なにやら肩すかしに会ったような気分。結局、日高川の素顔はまた今回も分からずじまいとなってしまった。

いつか、また逢う日まで。こんどこそ、ホントのあなたの姿に出会える日まで。それまでキレイなままで生き延びていてほしい。

1997年11月15日
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